夏来たれど、夏休み未だ来ず

8日。ワシの夏休みがなかなか来ないのに、事務の夏休みは本日からのようで、それにあわせて集中管理の冷房も夏休み状態になる。つまり、今現在、室温30℃のなか扇風機ひとつで、来たるべき夏休みに向けて格闘しているわけなり。

* * *

7日。なかなか夏休みが来ない。

* * *

6日。採点をして、頭痛。アイスクリームがのったアイスコーヒーに手を出して堕落する in コメダ

* * *

5日。採点をして、頭痛。頭痛の原因は採点ではなく、寝不足であると思いたい。

ワシが授業6回分ぐらいかけて説明した内容に関する論述試験に、和文1行の解答で応じるものあり。この1行をclose readingせよ、ということか……するか。Understanding Poetryのなかの"In a Station of the Metro"について解説する部分を思いだしたわ。ワシあたりがこのニュー・クリティシズム本を授業で読んだ最後の世代であろうか。

The apparition of these faces in the crowd;
Petals on a wet, black bough.

* * *

4日。採点をして、頭痛。頭痛の原因は採点ではなく、寝不足であると思いたい。

* * *

3日。最後の定期試験を行う。

* * *

2日。夏休みの東京駅は尋常ではないと知る。海外からの観光客の団体さんが、膨大な数の荷物を新幹線の車両にのせようとして汗だくになっている。そうこうしているうちに発車時刻が迫ってくるものの、まだ荷物をのせきることができず、そのために、その完了をまって車両に乗りこもうと長蛇の列をなして待機しているほかの乗客たちがあせりを見せ、別の乗車口に三々五々向かいはじめる。結局、その大量の荷物は車両の端っこに山脈のようにギュウギュウに積み上げられることになり、いちばん端っこのシートのリクライニング機能を完全に消滅させることになる。そのリクライニング機能を完全に消滅させたシートに、それから2時間近く居住まい正しく座らされることになったのが、ワシにほかならない。荷物をのせる苦行から解放された件の団体さんはと言えば、ここが「指定席」という概念が存在する車両であるがために、品川、新横浜と停車するたびに車両内の移動を強いられるという新たな憂き目にあってしまう。あいにく降車駅はワシとは同一ではなかったが、あの大量の荷物を限られた短い停車時間で下ろしきるのは不可能であろうと容易に推察できたので、どうか彼らの旅が終点で降車する予定のものであってほしい、とココロのなかで祈る。それにしても、ニュースにあったように、本当に炊飯器を大量に購入するんですね。良い旅を。

* * *

1日。東京に向かう新幹線が浜松に近づいたころ、黄色の物体とすれ違う。人生二度目のドクター・イエローとの遭遇だった。これを見た者は幸福になれるようだが、ワシは未だ幸薄し。

『トロイラスとクレシダ』@世田谷パブリックシアター。今年は真面目にシェイクスピアを見ている。ちなみに、数年前に上演された「世界のニナガワ」版は見ていない。今回の公演では、ひとりに一役というかたちで律儀に配役されていたが、初期近代イングランド演劇風にdoublingにしてもいいいのではないだろうかなどと思った、というか、どの役とどの役をdoublingで演じられるのだろうかと思いながら見ていた。たしかに劇場構造や二色の幕を上手く使って演出されていたが、律儀に好きか嫌いかで言えば、後者。おそらくは、髭のオッサン−−ドーキョニンがよく使う呼び方−−の原作の問題であろう。東京公演楽日前日だったが、curtain call3回にstanding ovationがつく。もちろんワシは、拍手はすれども立ちはせず。音楽担当の芳垣&高良両氏を拝見できたのはよかった。

どこも灼熱、ご自愛を……。