最後の授業

6日。西の空に視線をおくり、しばし、灼熱の過去に想いを馳せる。

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5日。ASUで最後の授業。お世話になった後輩氏とハンバーグ・ランチを堪能しながら、ふつうは「成熟」へと向かうはずの「last style」にあえて反旗を翻すProfessor Emeritusの現状について語る。この方もある意味で「情熱」氏なり。

授業はDVDを見せる予定だったが、自由意志で集まった学生たちとのおしゃべり会になってしまう。「うなぎ」、「先生たち」、「出身地」、「バイト」、「ゼミ選択」、「就職」、「アリエッティ」、「ジブリ映画」、「児童文学」、「美しき誤解(=恋愛)」、「クラブ活動」……などなど。女子学生たちの発言から、彼女たちが積極的にジェンダー批評を敬遠している、という事実を知る。正確ではないが、「偏った味方になるのが嫌だ」というような趣旨の発言を皆がしていた。これはある意味で大きな問題であるな。

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4日。エクセル氏が、コノくらすハ8割ガ不合格デアル、と命じてくる。なんてステキ。

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3日。昨日論述式試験100枚を採点した授業の出席状況を調べる。毎回の授業で小さな紙を配布し、そこに「学生番号」と「名前」と「ちょっとしたアンケートへの回答」を書かせて提出させることで、それを各学生の出席証明としているのだが、いつも学期末までこれを放置状態にしてしまうので、最後までこの紙が山となって鎮座してしまうことになる。

「ちょっとしたアンケート」で尋ねるのは、「好きな有名人」とか「印象に残っている小説、映画、漫画」とか「将来なにになりたいか」などだが、ワシから見て「有名」とはいえない人びとの名前が登場する率が年々増加している。それと並行して、「○○さんのつくる世界観に共感できる」と書いてくる学生の率も増加している。安易に「世界観」を語って、こともなげにそこに「共感」してしまう者にも、そう語られてなんの違和感も感じない芸術家や作品にも、ワシは興味がない。なぜなら、それらは、あらゆる意味で、死んでいるから。

もう6日か……。