りんごの牙

14日。アメリカの本屋に問い合わせのメールを出す。

* * *

13日。某委員会のはじめての会議。それぞれの思惑が衝突し、収拾困難な状態となる。いままで野放図なかたちで騙し騙し運営されてきたものを交通整理しようとした結果、「おれたちは今まで一生懸命やってきたのにそんなことをされては困る。そもそも教員たちはこちらの事情をいっさい知ろうともしないのに、何たることか」(誇張あり)という意見や、「わたしはそちらさんが何をされているのか知らないので、学生たちにはそちらさんを利用しなさいとだけ無責任に述べてきた」(誇張あり)という意見が出てくる。ワシはこの委員会の2番目に「エライ人」ということになっているのだが、1番目にエライ人とともに10月からこの仕事に携わることになったにすぎない。つまり、このような意見がとび出してくる素地を形成したのは、ワシたちのまえにこの職務についていたエライさんたちと、この委員会の事務を担っているオッサンである。この場にいたのは事務のオッサンだけだが、そのオッサンがノンシャランな態度をとるので怒りがこみ上げてくるとともに、ワシの前任であった「会議での居眠りを得意とするオッサン、またの名を、イーグルトンって有名な人ですよね」に対する憤りが脳裏から離れず、憤死しそうになるものの、いたって平静な態度を装って「ようするに両者ともコミュニケーション不足だったということで、それを改善しましょ」と述べて場をおさめる。「りんご」というかわいらしい名称をいただいているセンターの御仁たちは、なにやらただならぬ自尊心と自負心と攻撃精神と自虐精神をお持ちのようで、彼らがその名のもとに所属している「りんご」とは、りんごはりんごでも「禁断の木の実」のりんごだったらしく、今回、ワシたちはその「禁断」に触れてしまったようだ。あとは「堕落」のみと考えると、「幸福なる堕落」を思わざるをえないが……アホか。またしても調整役なのね。それにしても、わざわざ授業を休講にしてまでこんな会議に出なければならないとは、なんたることよ。しかも、飲み会には大幅遅刻となってしまったではないか。なるほど、「13日の金曜日」とはこのことか。

勝手にせい……。