石になりたい。

2日。午前中に時間ができたので運転免許の更新に行く。交通安全のビデオを見ていると女性が2人やってくる。久しぶりに偶然再会をはたした同級生だったようで、彼女たちは、ビデオとワシの存在を完全に忘却して臆面もなく赤裸々な近況報告に興じはじめる。その話を受動的に聞いてはいるものの、能動的には決して聞いていないという面持ちを演出してビデオに視線を向けるワシは、それを見るものになんの気遣いも見せることなく超然と自らの使命を遂行するだけのビデオの感情的強度を羨望する。ビデオはそんなワシをあざ笑うかのように共感のかけらも示してはくれない。千年の孤独。その後、研究室に行き、AK大に移動する。この間、『マルクス入門』を読了し、蓮實重彦大江健三郎論』を100ページほど読む。どちらの書物にも感嘆する。帰り道、やけくそで蓮實重彦『映画崩壊前夜』(青土社,2008)を購入するが、これを買いに行ったおかげで電車に乗り遅れる。

思い出したくないことを思い出す……。

* * *

1日。ついに12月がやってくる。今村仁司マルクス入門』を100ページほど読み、日暮れから会議2時間半をこなす。極寒の部屋で凍死しそうになるも何とか生還する。iPhoneにココロを奪われたことを恨んでか、ワシのiPodが壊れる。

あああ……。