鐘が鳴る

12日。面倒を言ってくるお方が、またひとり増える。雑用をこなそうとするも、数日前にあった惰性がどこにも見当たらない。だからと言って、シャカリキにもなれない。憤怒だけが眼の前にある。そこで、古の世で憤死したのは誰だったかな、と冷静に考えてみるも、思い出せず。

憤死ってステキやね……。

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11日。仁義なき戦い。いまワシが所属していると錯覚している組織を支配している原理は、これなのだと思い知らされる。聡明なものたちによって構成されている聡明な組織のなかでは、愚鈍なワシは異質物なのだ。もっと正確に言えば、愚鈍なワシはそもそもこの聡明な組織の一員として認められてすらいなかったのだ。それでもワシは、聡明さよりも、この愚鈍さを愛したいと思う。なぜなら、愚鈍だから。

いま、時の鐘が鳴った……。


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10日。森にかこまれた大学でテストを実施する。ここにやってくるのも、今日が最後。『賭け……』を読了する。

お世話になりまして……。

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9日。早起きして、研究室でメールをチェック。やはり締め切りを過ぎたレポートが送られてきている。それを採点して、N大に成績表を届けに行く。首尾よく目的を遂行し終えたあとは、寄り道をして以下の2冊を古書で購入する。
蓮實重彦『表層批評宣言』(ちくま文庫,1985).
小林章夫『賭けとイギリス人』(ちくま新書,1995).
その後、自分の大学に帰って会議。途中、眼の具合が少しおかしくなる。あとは別の雑用を惰性でこなす。

惰性が肝心……。