さようなら
曇りからはじまった1日が、午後晴れへと転じる。
ワックスがけのために研究室から閉め出されたので、別の部屋でHollandを読みすすめる。今日は王政復古期演劇と役者のかかわりを論じた第3章の約30ページに眼をとおす。残り10ページほどを残して、同じように部屋を閉め出された方とのおしゃべりに興じる。
夕方、訃報を知らせるメールが眼に飛び込んくる。H大のシェイクスピア研究者が12日病魔に倒れたことを知る。これまでに同じ酒席を共有したことが3、4回、研究発表を拝聴したことが1回あったと記憶する。場を和ませる恥らうような笑顔が頭をよぎっていく……。このチグハグな世界の片隅で、そっとご冥福だけをお祈りいたしております。
こんな夜でも雲間から丸い月が顔を出している。なんなんだ、これは……。
さようなら……。