鹿児島道中

10月14日。防災訓練日かつ授業日。防災訓練は確信犯的に失念。左眼が痛い。

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10月6日。飛行機の時間もあったので、逡巡したあげくに2日目は失礼する。カルカンを買い、さつまあげの配送を手配し、ラーメンを食い、コーヒーショップでHenry Fieldingの芝居を読み、空港に移動する。鹿児島市内は晴れて火山灰が舞う。帰りの飛行機でも、行きとは別の若者たちのとなりになり、しかも、帰りの飛行機でも、彼らが連れている赤ん坊に満面の笑みを頂戴する。こちらが読んでいるHenry Fieldingのfarceを物珍しそうに覗いているので、「こんなものを読むオトナになってはいけないよ」とココロのなかで想う。となりに座っていた赤ん坊の母堂が「不思議ですね、この子、ヒトミシリなんですけど……」と言う。それに応じて、「ああ、いや、ワタシもです……」などと意味不明のコトバを吐いてしまう。到着するころには赤ん坊は眠りに落ちていたが、件の母堂に丁寧なごあいさつを頂戴したので、「お元気で」と一言残して、ヒトミシリのオジサンは一目散に去る。

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10月5日。ほぼ寝ていない状態で飛行機に乗り、鹿児島へ向かう。若者たちのとなりで、Nahum Tateを訳していると、彼らが連れている赤ん坊が満面の笑みをたたえて、ワシを見る。「はい、オジサンです。40年後には君もこうなりますよ」とココロなかで想う。鹿児島は雨が降っており、このところ地面に降り注がれた火山灰が泥のような状態と化している。路面電車にしばし乗って、鹿児島大学に到着する。出るに出られない部屋に入りこんでしまい、『リア王』と『じゃじゃ馬ならし』のご発表を拝聴する。ひさびさにシェイクスピアの研究発表を聴いた気がする……。その後、持ち時間をオーバーするのではないかと冷や冷やしながら、30分ほど話をして、疲労困憊する。司会の労をお引き受けいただいた先生と、ご質問を頂戴した若き俊英に深謝。懇親会では久方ぶりにお会いする諸先輩のお話を拝聴する。ホテルに帰って、甘いもの(ロールちゃん)を食べたところで、意識を失う。

疲労……。