8月の家族たち

21日。文読むあいだに、われ知らず、瞼が眼球のうえに垂れ下がってきて……残酷な分針はときに秒針並みの速度を発揮する。

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20日。またしても 不毛な会議 2時間越え [詠み人知らず]

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19日。『8月の家族たち』@シアター・コクーン。劇場入口の近辺に「世界のNinagawa」を悼む記帳コーナーがあり、そこでは妙齢のご婦人方が各々の名前を書き記している光景が展開されている。それを空虚に眺めやる。昨秋、別の方の訃報を受けとった場所もここだったな、などというコトバが空虚なココロのなかにひびく。それはともかく、麻美と秋山という二人の女優が魅せる。彼女たちの芝居と言ってもよいのかもしれない。「サボテンのまわりをグルグルまわる」から「こうして人生は終わる」まで……「それでも生きていきましょうよ」とチェーホフだったら登場人物に言わせてしまうのだろう。客席最前列の右端だったため、常盤さんが眼のまえに来て、少しドキッとする。思っていたよりも、小さい方だったが、思っていたよりも優しく美しい声を発せられる方であった。彼女が演じる女性と、中村が演じる男性が織りなす愛も、とても優しく、とても美しいが、とても切ない。「なんとなくお似合いの二人だな」と空虚なココロがつぶやく。それはともかく、舞台セットの写真は撮影できないので、芝居を観るときには、いつも開場とともに座席について舞台セットをスケッチしはじめるのだが、毎度毎度、隣に座る方から奇異の眼でチラ見される。それが妙齢のご婦人であれば、チラ見の頻度はほかの方の場合よりも倍増する。きっと「アンタ画才モ画力モ皆無ネ」などと思われているのであろう……。それはともかく、日帰り遠征が体に堪える年齢になってきたな。

うん、眠い……。