さよなら

3日。レイモンド・チャンドラーロング・グッドバイ』の新訳を読む。困ったことに、マーロウの台詞がアサノ氏の声に脳内変換されてしまう。「訳者あとがき」は、精神衛生上よかろう、との判断で未読とする。「さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ」。その後、ウンベルト・エーコフーコーの振り子』を読み始めたが、衒学趣味に少し辟易して200頁ほどで投げ出す。テンプル騎士団的なところが出てくるはるか以前に離脱することになってしまったものの、とちゅうで『ハムレット』をパロディ化した部分に遭遇する。エーコに「さよなら」を言って少しだけ死んでいてもらう。そのかわりにボリス・ヴィアン『日々の泡』を手にする(新訳はやはりもっていない)。デューク・エリントンの「クロエ」を聴こうと思いたつも、CDが行方知れず。エリントンに「さよなら」を言われたようで、少しだけ死んだ気になる。

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2日。デパ地下で小ぶりだがwholeのケーキを買う。店のお姉さんが「無料でプレートがつけられますよ」と笑顔で言ってくれる。普段ならにべもなく無愛想に断るのだが、お姉さんのスマイルに押されて、「○○○ Happy Birthday」でお願いしますと口が勝手に語ってしまう。師走に血迷って気持ち悪いことをしてしまったが、こんな千載一遇の機会は二度と訪れまいと思った約1名○○○は、おのれの名前のプレートが搭載されたケーキの写真を撮りまくる。本日は、マリア・カラスの誕生日なり。buon compleanno! tanti auguri a Maria e ○○○!

色々な意味で、寒い……。