なんとなく

初夏の陽気。書類書きのあいまをぬって、おじいちゃんと会う。お年を召されたが、お元気なのでココロが少し軽くなる。このところ、もうひとつの世界へ旅立たれた話とか、この世界でねじれてしまった話ばかりだったので、生という持続の確かさを感じさせてくれる人物に触れて、なんとなく、ゆるくなる。そして、なんとなく、寂しくなる。そして、なんとなく、逃げ出したくなる。そして、なんとなく、……。

1時間ほどおしゃべりをして、研究室に戻る。PCの前に座って書類を書く孤独のかたまりには、すべてのものが同じ色に見えてくる。色づいた街の風景をとりもどすには、天使の力にすがるしかないのか。

虚無……。