美味、ふたたび

オレゴン大学での最終週がはじまる。そして今日は、羊飼いにとって魔の月曜日。

朝6時ごろにかなりの量の雨が降る。羊たちをつれて教室に向かう9時ごろになっても、まだ少量の雨粒が空から落ちてくる。日中になると、この雨は姿を消すが、お天道様は結局現れず、昨日と同様に曇天の1日となる。ここの天気は、あくまでも頑なだ。

今日は魔除けをして遅刻を免れる。うそです。3度目の正直ってやつですな。

有能なインストラクターの授業は、週末に羊たちが経験したホーム・ステイに関するQ&Aがメインとなる。まず有能なインストラクターは、ホーム・ステイ先のお宅について尋ねる質問(家族構成、食事、なにをしたか、など)が書かれたプリントを配布する。プリントに書かれた質問に答えるかたちで、羊たちは、それぞれのホーム・メイトごとに、自分たちがお邪魔したお宅について、あらためて情報整理をしていくことになる。それが終わると、別のホーム・メートとグループになり、お互いのホーム・ステイ先についての情報交換が展開される。なんともスムーズなグループさばきである。今日は「日本語禁止令」を羊飼いが特別に出しておいたので、いつもよりも日本語を口にする羊が少ない。よきことかな。

情報交換が終わると、また1枚のプリントが配布される。今度はアメリカの住宅事情についての解説。70%のアメリカ人は持ち家を買い、貸家住まいの人は大家さんの対応(修理などの点で)に生活の満足が大きく左右されるそうです。最も貧しい人は"public housing" apartmentで暮らすのですが、ここは犯罪者の巣窟である場合が多いそうです。アメリカ人は自分の家をより良くしようとして、家とか家具についての本や雑誌をよく買い、日曜大工に励むそうです。これを称してHome Improvement Project(+ D. I. Y. = Do It Yourself)。さらに、アメリカ人は引越しを頻繁にし、有能なインストラクターも過去に5回ほど引越しを経験したそうです。

その後sとthの発音練習をする。いつものように、この発音練習は有益。

授業後は相方と連れ立ってボスに会いに行き、もろもろの段取りを確認する。ボスのところを出て、いったん相方と別れるが、再度12時に相方と待ち合わせをして、2人でランチに出かける。向かった先は、この前2人で行った感じの良いレストラン、オーダーしたメニューは、この前それぞれがオーダーしたものと同じ(今回、羊飼いのペプシはコーヒーにかわる)。あえてチャレンジはせずに勝手知った旨い物を食す、という点で2人は共通の思考をする。

くどいようですが、羊飼いの食べた、ロースト・ビーフとキノコが挟み込まれたパンは、なにかあっさりめの液体にdipして食べるもので、これがかなり美味。いくつかあるなかから選択をして、このパンにつけてもらう小さなドロッとしたスープは、トマトベースの濃厚な味をかもし出し、これまた、あっさり味に変貌したパンに良くあうのですよ。これらにホット・コーヒーが絡んで、完全な三位一体を形成します。美味なり。

昼食の後は、午後のCoversation partnersの時間まで自由時間。そのConversation partnersも、集合時間にチョロッと顔を出して、早々にdormにひっこむ。そしてThe Country Wifeの再読をすすめる。

時計が5時半になったので、夕食をとることにする。食欲はなかったが、この時間に食べないとまた1日1食になるという危惧から、あるいは、1日2食とるという大義名分を果たすために、いつもより少なめのサラダとパン1枚とメロン4キレとオレンジ・ジュース1杯を口に投入する。食べ終わると、体が鉛のように重くなったように感じる。長期的健康を志向して、短期的不健康を感知する。明日からまた1食生活かな……。

食後はさらに読書をつづける。そして、いつものように定例のミーティングをして、魔の月曜日が終了する。

さわやかな風に吹かれながら、凡庸であることの大切さを思う……。