魔の月曜日

新たな週の月曜日がはじまる。ここに来て1週間が経過したことになる。そして、先週の今日と同様にやらかしてしまう……遅刻。すんでのところで授業には間に合うが、集合時間には10分遅れる。羊飼いにとって、月曜日は魔の曜日である。

有能なインストラクターは、まず、いつものように羊たちへ問いかける。昨日出かけていったOregon Coastのことについて、昨日行った乗馬について……。Q&Aというよりは、質問者が回答者に答えを搾り出させているような雰囲気がどうしても出てしまい、第3者の立場(参観者)にいる羊飼いは、この場面に疲労を感じる。その後、プリントが配布され、Lane County Fairについての解説、ならびに、それについての多少のやりとりが行われる。さらにsummer foodについて日米の比較が、羊たちを巻き込みながら、展開される。1週間たち、また、インストラクターの人柄もあり、ポツポツとではあるが、羊たちが自発的に発言しはじめるようになる。これは良いこと。だが、基本的な英単語を読むことができないのは相変わらずで、このあたりは短期間では如何ともしがたい。だれがどうカイゼンするのやら……。

昼食は、相方と待ち合わせて、大学近くのレストランでとる。ローストビーフとキノコが挟み込まれたパンそしてペプシを、中庭におかれたテーブルで食す。かなり美味、美味、美味。分量もアメリカンではないので、ちょうど良し。レストラン自体の雰囲気も良し。ちなみに、べつにペプシが飲みたかったわけではないのですよ。昨日のアメリカンな食事以来、面倒なので、飲み物はどうします、と問われると、衝動的にペプシと言ってしまうだけです……ペプシアメリカンだからですかな、それとも、羊たちの癖がうつったんですかな。

午後は、羊たちが小グループに別れて、オレゴン大学の学生と会話の練習をするConversation partnersの時間。前回同様、グループはいたるところに散らばっていくので、羊飼いには捕捉不可能になる。羊たちを見送ったあと、炎天下で、ボス、悪魔の微笑みをもつ女の子、相方、羊飼いの4人で諸々(lunch party, dinner party, ceremonyなど)の打ち合わせを行う。打ち合わせ終了後は、今日はdormに戻らず、ひとりそのあたりをぶらぶら歩いてみることにする。今日の陽射しは、これまでのなかでいちばん殺人的だったように思う。昨日Oregon Coastで焼け焦げた羊飼いの肌に、いっそうジリジリと太陽が焼きを入れてくる。普段ならば大嫌いな陽射しだが、不思議とここでは、これもありかな、と思えてしまう。ユージーンのgenius lociがそう言わせしめるのだろう。

その後、羊たちと談笑したり、居眠りしたり、羊飼いの常食サンドウィッチを買ったりして時間をすごす。いつもサンドウィッチを買うカフェテリアのオバチャンが羊飼いにニコッと微笑んでthank youと言ってくれる。それだけで、遅刻からはじまった魔の月曜日が、幸福な1日に変化したような気がする。幸福はいたるところに満ち溢れているのだ、と感じる。まあ、1日の終わりに行われる定例のミーティングでは、ちゃんと羊たちに平謝りしときましたけどね。すんません。

極東にいる方、そして、同じ大陸にいる方からもメールをいただく。異国にいると、ふだん等閑にしがちなことが圧倒的な力で現前してくる。ふとわが身を振り返り反省する。

そして、人に会いたくなる……。