maccaroni in USA

maccaroni is in USA. I'm still surviving.

午後も半ばをすぎたころ機上のひととなり、一路サンフランシスコに向かう。−42の上空から平行に見据えた太陽は、むき出しの野蛮さそのものであった。日付変更線をこえた頃には雷神さまの訪問を受けることになり、幾度となく機体がゆすぶられる。奇妙にも生きていることを実感する。羊たちは10時間のフライトに耐えられないようで、そわそわしたり、この期に及んでゲームなどしているものもいる。そして、飲み物のオーダーはいつもみんな同じ、コカ・コーラ。コーヒーぐらい言え! そんな姿を視界に入れないようにして、夢野久作ドグラ・マグラ』の再読に没入する。狂気の物語を読んで現実の狂気にも耐え忍ぼうということか……。ユナイテッドのビーフが食べたかったが、数量の関係でチキンにされる。

サンフランシスコ国際空港ではいつものように入国審査に閉口する。やれやれと思っていたところに、ラゲッジのタグがとれてなくなってしまった、と言い出す羊がいて、さっそく通訳にいそしむ。なんとかスムーズに解決したと思ったら、今度は乗り継ぎの飛行機が一時間遅れる、というアナウンスが入る。仕方がないので、見送りにきてもらう方たちにその旨連絡を入れる。この間、羊たちは眠りに落ちる。羊毛を刈ってやろうか、という衝動に駆られる。ある意味、たいしたものですわ。

ユージーン空港には、女性のお出迎えが2人。彼女たちのドライヴでオレゴン大学までサーっと突っ走る。オレゴン大学は、どっかのラジオが言っていたとおりのthe greenest college。オレゴン自体も緑のあるよい雰囲気の町。そうお出迎えの女性の1人に言うと、ひどく喜んでいただける。羊たちが言葉を発しないので、なぜかペラペラ話す役回りになり、日本にいたときの人格が消し飛ぶ。その後、部屋の割り当て、簡単なオリエンテーションとスケジュール確認、そしてディナーという流れになる。ここでも通訳という役回りを演じさせられる。ディナーのあと、お出迎えの女性のひとりを煩わせてキャンパス・ツアーに出る。(くどいようですが)ここでも、通訳して羊たちに解説する役回りを演じる。

オレゴン大学はtraditionalな側面をもちつつ、liberalな側面も大切にしている、と女性は語る。大学内で一番古い建物は、当初、男女で入り口を別々にしていた、という話を興味深く聞く。会話の途中でpionnerの話になり、go westですね、と言うと、これまた喜ばれる。一方、羊たちは旅の疲労に完敗状態で、この頃にはもう英語どころか話も上の空状態になっている。心のなかで、とりつくろいなさぁ〜い〜、と叫んでみるも、効果なし。女性と別れて、軽いミーティングをし、今日はおしまい。ちなみに、キャンパス・ツアーをしてくれた女性は、聡明な方で、日本語を勉強しているという。『チュウシングラ』を読んだことがある、そうです……。

予想通り苦情処理の1日だったが、ちょっとだけ英会話を楽しむ。になみに、もうひとりの同伴者の方とは、かなり打ち解けることができた(と思いますよ……)。

旅立つ前にメールをくれた方々、謝謝。
電話をくれたマキャベリアンにも、謝謝。
わたし、生きてます。