Alan Sinfield

今月のはじめにAlan Sinfieldが亡くなった。ワシはSinfieldの良い読者だとは到底言えないが、それでもFaultlinesやOut on Stageなどの彼の著作は好きだし、Political Shakespeareについては、世界中の誰もがそうであるように、熟読した。

ある方の博士論文審査公聴会のときだった。外部審査員として審査にあたられた人から「あなたが言及しているcultureの概念に少し違和感があるのですが……」という質問があった。審査対象者は「Alan Sinfieldが述べるcultureの概念に依拠しています」と返答した。そして、その返答をひきとって、件の審査員は「あの人のcultureの概念は特殊ですからね」と冷笑交じりに述べたことがあった。その発言を聞いたワシは、文化唯物論が冷笑されたように思い、ひそかに憤りを覚えた。ひそかにdissident readingを忘れずにいようと思った。完全に若気のいたりというやつだな。それでも、物事を見る眼といったようなものを仮にワシがもっているとするならば、その大きな部分を形成してくれたのは、やはりJonathan DollimoreとAlan Sifieldだと思うので、Sinfieldがこの世からいなくなってしまったのを知るのは、とても悲しい……。

さようなら……。