胡乱からシンドイまで陥没をはさむ

22日。正直シンドイ。

* * *

21日。「30人クラスでは教育困難なので、それ以下の人数のクラスにしてくれ」とテリー教授が言ってくるので、「われ、欧米のスター教授か」と思う。

* * *

19日。かつて同僚だった先生が4月からサバティカルで渡米するにあたり、彼女はわれわれの会の会長でもあるので「壮行会」と銘打った定例会を開催しようと目論んだのだが、主賓である会長が多忙を極め、なかなか予定があわないようなので、帰国後に「慰労会」を行うということで勘弁していただく。ボン・ヴォヤージュ。あ、旅ではないか。あ、会長ではない、とおっしゃっていたか。

* * *

10日。お世話になっている先生のお宅に向かう。お呼ばれではないのだが、結果的にお呼ばれのような状態になってしまう。女子大出身者の華やかさを少しばかり体験する。

* * *

8日。『陥没』@コクーン。小池エイコはすばらしい女優だと思う。かつて広末リョウコが主演していた(と思う)映画を見たときにも思ったことだし、以前舞台で見たときにも思ったことだが、小池エイコはすばらしい女優だと思う。シェイクスピアからの引用が芝居のなかにあるのは、この芝居を観る誰もが気がつくところだろう。ただ、それに関連してひとつだけ思ったことがある。最終場面では、小池演じる女性は観客に背を向けたままで、彼女の顔を覗き込む別の登場人物の台詞から、彼女の頬に涙が伝っているのが判明するという演出方法がとられる。かつて、RSC(だったと思う)がシェイクスピアの『冬物語』を上演した際、彫像の場面のハーマイオニーを、観客に背を向けた状態で立たせ、彼女の姿を覗き込むレオンティーズの驚きの表情をとおして、観客は彼女が生き返ったことを知る、という演出方法がとられたことがある……と、ある古い本で読んだことがあるのを思い出した。これも引用……ではないだろうな。なにはともあれ、「にぃちゃ〜ん」ということばを連発する瀬戸が役者としてすばらしい才能をもっていることに間違いはない。

鶴見良次マザー・グースとイギリス近代』(岩波書店)を読了する。著者が「胡乱(うろん)」ということばを多用するので、つぎにいつ「胡乱」が出てくるのかと、視線がウロンウロンしたりはしない。

すみません……。