詮無し

felice anno nuovo a tutti.

いつもどおりの年越しだったと思う。

ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』を読了する。それほど長い小説ではないのだが、日本語であろうとウルフのものはやはり読むのに時間がかかる。セプティマスの最期の場面が、かつて読んだときとは別の感慨をよびおこす。その後、ジョージ・メレディス『エゴイスト』(上巻)を読む。大学院のときに読まされた小説だがほとんど覚えていないし、喜劇論を書いた小説家の代表作でもあるので、もういちど読んでみるかと思ったしだい。もちろん、日本語で。

14日から降った大雪に閉口する。15日は遅刻御法度の仕事のため、6時発の電車に乗って2時間以上かけて大学に向かう。「行きはヨイヨイ帰りはコワイ」あるいは「家に着くまでが遠足です」の教えを忘却したわけではないのだが、その日の夜、大学からの帰り道で滑ってコケる。駅前に待機していたタクシー運転者たちの視線に「雪上で夜空を見上げるワシの姿」が捕捉されたように思ったので、何事もなかったように颯爽と立ち上がって、スタスタ歩きだしてやる。昨年末に「来年はコケませんように」と祈っておいたが、やはりおのれの宿命は生半可な祈祷や自由意志では変えらず。「詮無し」ということを今年のモットーとして生きることにする。

轍を踏めればよいのだが……。