『十二夜』の前後

19日。ここ数か月パイプ椅子に座ってケツの肉を酷使しつづけてきたが、ようやく本日ケツの肉にやさしい椅子を研究室に導入する。

見たいと思っていたものの、近隣の図書館は所蔵しておらず、国内図書館にも所蔵数が少ないため、なかなかその機会が得られないままになっていたMatthew Steggle, Wars of Theatresが安価で手に入る。

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18日。会議、会議、会議、長い立ち話、送別会。すでに定年を迎えて数年を経ている情報系のお話好き先生が、ひょっこり研究室にやってきたので、1時間強ご高説を賜る。その後、数の学を講じる山登り先生が今年定年を迎えられるので、送別会に出席する。団塊世代のSSS三氏がこれでこの大学に別れを告げたことになる。外はいつのまにか土砂降りになっており、これから戦がはじまるような前夜のにおいが漂ってくる。

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17日。『十二夜』@日生劇場。『ベガーズ・オペラ』以来ここにくるのは2回目だと思うが、この劇場をとりまく文化圏が、ワシにとってはすでにしてアウェーなり。『十二夜』は好きな芝居だが、あるいは、好きな芝居ゆえに、今回は楽しめず。しかしながら、最終場面のシザーリオ/セバスチャンの扱い方については、なるほどね、と思うところあり。それにしても、役者が台詞を語りだしてもお喋りに興じるご婦人方あり、それに睨みをきかせるご婦人方あり、振り返って「静かにしてくれませんか」と語気荒く言い放つご婦人方あり、女子学生と一緒に観劇する同業者あり、の客席模様であった。お喋りに興じていたご婦人方の劇評を忘れずしたためておくと、「な〜んか、理屈っぽくて、盛り上がりにかけるお芝居だわよねぇ。この前見たものの方がおもしろかったわ」だ。この前なにを見たのか、なんとなく気になってしまったが、このご婦人はヴァイオラのことを終始ヴィオラと言っていたので、この場で見ていた芝居がワシと同一のものであったのかどうかも、疑わしい。その後、杉村春子の伝記みたいなものを記す署名入り本が500円だったので、東京土産に購入してそそくさと帰る。

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16日。ドーキョニンの姪の幼稚園児に先月チョコレート2粒をもらったので、ストロベリークッキーのお返しをする。倍返しどころではないが、幼稚園児と言えども礼を失してはならぬ、というのがオヤジの遺言になる予定のコトバなので致し方ない。

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14日。訳あって、実家に帰って饅頭を食う。

春が来た……。