ヒコニャンとジジイと雨

6日。今日も冷たいが雨が降ったり、やんだり。だから、コーヒーを飲み損ねる。

まあ、よい……。

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5日。冷たい雨が降る。だから、少し苦いコーヒーを飲む。
Thomas Durfey, A Fond Husbandを読了する。不倫している男女と、それを暴こうとする男女の知恵比べ(変装やトラップドアでの脱出など)。耳も眼も耄碌しているため、気に入った女にキスをしようとして別の男にキスをしてしまうような73歳のジジイがひきおこす齟齬が滑稽。さしずめ日本で言うと、吉本新喜劇かシムラケンか。

あん、あんだってぇ〜?……。

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4日。彦根城に行く。昼食のあんかけチャンポンは美味だったが、となりのテーブルで同じようにチャンポンを食べていたオバサンが、そうするのがあたかも当然であるかのようないたって冷静な面持ちで、どんぶりのなかに酢をドボドボドボドボ入れているのを目撃してしてしまい、その途端、自分のどんぶりからもスッパイ香りがわきあがってくるような気がして少しゲンナリするものの、この時点ですでに食すべきものの大半を胃袋のなかにおさめていたので、危うく難を逃れる。

店を出て、しばし歩き彦根城に向かう。石段に少し疲労しながらもブラブラブラブラする。途中、若いご夫婦に写真撮影のご協力をお願いする。以後、彦野を離れるまでに、このご夫婦とは3回顔を合わせることになり、3回気まずい感じを抱くことになる。

彦根城ではあらゆる風景が凍りついているかのように、木々もお堀の水も微動だにしない。なんともココロが休まる。ただ、この静寂はヒコニャンをめぐるニンゲンどもの喧騒によってすぐに掻き消されることになる。それにしても、ヒコニャンはたしかにカワイイ。

お土産屋さん通りを物色し、近江牛使用のコロッケを食したり、ヒコニャンがプリントされた栞やエコバックを購入したり、コーヒーを飲んだりする。あらゆる土地の名前が明記されたナンバープレートを見ながらテクテクテクテク歩き、彦根駅まで戻る。そして、もと来た場所に帰ってくる。

ヒコニャン、お疲れさま……。