駆け落ち

肌寒さ、増す。

『イギリス式…』を読了する。かつて駆け落ち結婚を決行しようとした男女が目指したグレトナ・グリーン(スコットランド)。古は当然のこと、現在の恋愛事情においてもここが特権的な場所になっていることについて、法規制などの時代状況に目配せしながら、著者は説く。興味深いのは、駆け落ち結婚をめぐる物語上のプロトコルで、司祭役は「鍛冶屋」がつとめ、駆け落ちする男は「士官」が定番であったという。傍観者としてのウルカヌス、フェティッシュとしての制服。神話的要素と欲望のまなざしが同居するなか、法の外部を夢見る男女の物語……。駆け落ち結婚という文脈でR.B.シェリダンの『恋敵』とJ.オースティンの『自負と偏見』をつないでいるのも面白い。

疲労が執拗にまとわりつく……。