『黴菌』以後の日常

9日。Joanna Baillie, De Monfortを読了する。De Monfortくん、あんたもよくやるね。ある意味で、君も「情熱」氏だわな。

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8日。忘年会。吉と出ず。鍋を食い終わったあとに冷奴が出てきても、ねぇ〜。上にのっかっているバターがいっこうに溶ける様子を見せないくらいに冷え冷えとしたホイル焼きを出されても、ねぇ〜。食えるかぁ〜。ワシがふぐ料理を画策したのに、それを廃案にしてまで来させられた店なんですが……大丈夫だったのか、「情熱」氏よ。とりあえず、忘れられない年になりました。

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7日。「情熱」氏が無断で会議をサボるも、誰もがそのことに言及するのを避ける。きっと、それにふれたとたんに、世界が崩壊してしまうのであろう。大文字の他者、ここにあり。その後、演劇の授業。

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6日。劇的日常に復帰。

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5日。東の京をブラッとして帰る。帰りの新幹線内で「膝枕+頭なでなで」カップル(大学生風)を目撃させられる。なんとなく、ウンザリした。もっとウンザリしていたのは、彼等の隣に座らされているサラリーマン氏であろうが、その禿げ上がった後頭部からは、氏の感情まで見透かすことはできなかった。お気持ちお察しいたします。

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4日。新幹線にのって東の京へ。ケラリーノ・サンドロヴィッチ作『黴菌』@コクーン

この芝居は、もちろん家族・兄弟をめぐる話ではあるのだが、それ以上に、脳をめぐる話であるということにココロが揺さぶられた。その意味で、ナカムラトオル氏の喜劇役者ぶりに負けず劣らず、オカダ&イヌヤマ両氏の夫婦役や、ミノスケ氏をはじめとする患者役の面々の演技が秀逸であった。そして、言うまでもなく、緒川たまきさんは美しすぎた。なんとなく、静かになった。

初日だったので、ケラ氏がおられることを予想して、座っている2階席から見渡してみたら、やはり氏は1階中央に座っておられた。ノートにメモをしておられたので、あとで役者の方々にダメだしをするのかな、と思った。客席に座る演出家は最後に役者たちに向けて拍手をするのかどうか気になったので、こっそり2階からチラ見していたら、はじめは拍手しなかったものの、最後には氏も拍手していた。なんとなく、安らいだ。

どうでもよいことですが、芝居終了後には、同伴者がケラ氏のことを「ケロ氏、ケロ氏」と連呼してひとりでウケておりました。なんとなく、ごめんなさい。

「脳ではなく悩みです」……。