真面目の殺人

24日。研究室で労働に関する書類を書く。書き終わったので、今から散歩をしに街にでることにしよう。

帰ったあと、漱石『明暗』をひっぱりだして100ページほど読む。

爽快……。

* * *

23日。勉強がやりたくないので『虞美人草』を読了する。忘れていたけど、藤尾さんは最後に死んでしまうのね。藤尾さんを殺したのは「真面目」という観念にほかならないのだが、フェミニストは藤尾さんについて、どのようなことばをつむぎだしているのやら。どうでも良いことだが、全358ページ中に数回だけ「宗近君」が「宗近さん」に変貌するところがある。漱石先生の筆が滑ったということか、それとも……。

「世の中に都合程卑怯なものはない」
「一体文学者は軽いからいけない」
「過去の節穴を塞ぎかけたものは現在に満足する」
「一人の一生には百の世界がある」
「観ずるものは見ず」
「運命は丸い池を作る」
「神聖とは自分一人が玩具にして、外の人には指もささせぬと云う意味である」
「真面目とはね、君、真剣勝負の意味だよ」
「悲劇は喜劇より偉大である」

「父は死んでいる。然し活きた母よりも慥かだよ。慥かだよ」と語るのは、『エクリ』の著者ではなく、甲野さん。

難解……。