Loving You

N大でキングコング論を読む。ちょっとシンドイ様子……。

Thomas Killigrewには、上演ではなくて読書を前提に書かれた"Closet Drama"がいくつかある。これを執筆した動機のひとつについて、Alfred Harbageは、「書くのが楽しかったから」とこともなげに言ってしまう。国王に寄り添って海外まで逃亡し、死ぬまで借金取りに追われた人物が、「楽しかったから書いた」なんて、ありですかね……。楽しいから、5幕2部構成(実質10幕、しかも、1幕に10以上の場面)という長大なものを書いちゃうのですかね……。それはさておき、この"Closet Drama"のひとつBellamira(1650-52)には、〈ト書き〉という演劇的形式が採用されているらしい。芝居を読む、という行為の歴史を考える上では、実に面白い。ただ、いまは係わり合いをもちたくない。Harbageの本はKilligrewの劇場経営に関する議論が少ないので、少し不満。

探していた本が見つからず、イライラしたので、Harbageに文句を言ってみることにする。諸々あって、ココロの余裕がまったくない。焦るでない……。

「蓮實:その答えは非常に単純です。私も何かに愛されている存在ではないから、その際、努力するしかないんです。」(『UP』No.432(October 2008), p.14.)この人にこう言われてしまうと謝るしかない。が、胸にしみる。

あらゆる書き物はラブ・レターである……。