ぼくの家に来る?

10月29日。Sono stanco molto.

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10月14日。急遽予定がキャンセルになったので、『誤解』@新国立劇場カミュの絶望にふれる。「涙が流れているのだから、まだ本当の絶望を味わったわけではないわ」的な趣旨の発言に遭遇したのは、これで3度目なり。最後のことばは、「いやです」。

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9月15日。オジイチャンのご自宅に行く。以前お会いしたときに「ぼくの家に来る?」的なお誘いをいただいたので、ノコノコ出かけって行ったわけなり。学部時代に1回、授業のレポートが締切に間に合わなくて、オジイチャンの自宅のポストに投函しに行ったことがあった。そのとき、「せっかく来てくれたなら、ピンポンって押してくれればよかったのに」と言われてしまった。その後、大学院時代に1回、これまた授業のレポートが締切に間に合わなくて、オジイチャンの自宅まで行った。そのときは前回言われたとおりに「ピンポン」と鳴らした。そうしたら、オジイチャンが玄関から登場してきて、近くの喫茶店につれて行ってくれ、お茶をごちそうになった。「どうせ大学行くんでしょ、これ出しといて」と、用事も頼まれた。さらに、もう一度、自宅ではなかったが、オジイチャンの利用している駅の近くにあるホテルの最上階で、いっしょにランチバイキングを食べたこともあった。そんなこんなでオジイチャンの自宅に行くのは3回目で、おそらくは20年ぶり、そしてなかに入れていただくのははじめて、だった。オジイチャンは、書斎にとおしてくれて、紅茶を出してくれたり、「めずらしいお茶飲む?」と言って開運茶という名のキノコ茶を振る舞ってくれたりした。訪問の本来の目的はあまりはかどらなかったものの、なんとなく2人で静かになごんだ時間が流れたのでよかった。帰りはバス停までついてきてくれて、オジイチャンはバスが発車してもずっと立ったままワシを見送ってくれた。その姿を見て、なんとなく胸がいっぱいになってしまった。

涙は流してないけどね……。